「だからってなんでそんな態度なわけ?今からでも即興で考えますとか言えないの?」
「んなこと言われなくても考えるっつの!紗奈に言われなくてもな!」
「なによ!雅は何も」
「お前ら、もぉやめろって!!」
「「・・・・・・」」
俺と紗奈が騒ぎ立てる視聴覚教室の中は、みんなの視線が一部に集中していた。
もちろん、それは俺と紗奈なわけで。
「落ち着けよ。紗奈も雅も、お前ら二人ともがおかしいんだって。」
「俺はおかしくない!」
「私だっておかしくない!おかしいのは雅だけだって!」
「はぁ!?」
「加藤!平野!お前らいい加減やめろ!」
そこにこの軽音部の部長、秋元先輩の怒声が響いた。
「お前ら、夫婦喧嘩なら外でやれ。ココに楽器以外でうるさいやつなんかいらねぇ。」
「「・・・すみません。」」
俺と紗奈は部長に頭を下げた。
部長はそんな俺らをみて「落ち着いて楽しく部活しようや」と言ってくれた。
そんな優しい言葉をかけてくれる先輩が、そばにいるっていうのはすごく嬉しい。
「秋元先輩、俺今日は帰ってもいいっすか・・・。明日までに曲も歌詞も仕上げてきます。」
「バンドメンバーにちゃんと伝えて帰れよ。」
「はい。ありがとうございます。」
さっきチューニングし直したギターをしまって、背負う。
「紗奈、直登。明日にはぜってぇ考えて来るから。今日は、ごめん。」
「おう。じゃぁよろしくな!任せっぱなしでこっちも、なんかごめん。」


