『未那、ごめんな。俺、海外に行くことはずっと前から決めてたんだ。』
『え、それって・・・いつから決めてたの?』
『・・・俺が、浮気を始めたとき。』
俺がその言葉を口にすると未那は、ハッと何かわかったような顔をして『だから』と言った。
もう、未那は分かったらしい。
未那は、案外頭が良いから。
なんて、こんなこと言ったら怒られそうだけどな。
『悪かった、本当に。ちゃんと俺が話せばよかったんだ。でも、あの頃の俺は未那を巻き込んでまで海外に行きたくはなかったから。』
『私に嫌われて、別れようって・・・そういうこと?』
『ご名答。俺だって未那が好きだった。今だってそう思ってるよ。でもあの頃はさ、今未那の将来を俺が縛っていいのかって思って。』
『智・・・』
『結果、未那を傷つけることになった。体も心も。』
未那の手首を指差しながら言うと『知ってたんだ』と苦笑いをした未那。
知ってたよ。
好きなんだから。
彼女なんだから。
『何も言ってやれなくてごめんな・・・。でも、未那に嫌われたら、簡単に別れることができると思ってたんだ。』
『そんなこと、あり得ないよ。私は好きで仕方なかったんだから。』
『そうだよな。俺だって、立場が未那だったら同じだったと思う。』
俺のバカな考えで、最悪な結果になっていった現状。
どれだけ謝っても謝りきれない。
それでも未那は、一つも怒らなかった。


