「直登、俺のパクってんじゃねぇよ。てか、俺の話!」
「今日新曲決めるんだってな。」
「そうそう。どうせ雅が作るんでしょ?」
「あのな、俺の・・・は!?今日から新曲開始なのか?」
そんな話聞いてねぇぞ!?
俺が目をパチパチさせているのを不思議そうに見ている目の前の二人。
「雅、話聞いとけよなー。金曜日に言ってたぜ?部長が。」
「マジか!やっべ・・・曲も歌詞も考えられてねぇよ・・・。」
「雅が悪い。」
「同感。」
紗奈も直登も俺を冷たい目で見てくる。
そんな目で俺を見るなー!
「今日から練習なのにどうするの?土日も月曜日もあったのに。」
紗奈が冷たい言葉を俺に浴びせる。
いつもならこんなこと言ってこないはずなのに。
やっぱり、今日の紗奈はおかしい。
俺は紗奈の方を見た。
紗奈の肩が少しだけ跳ねたように見えた。
「紗奈、お前変だって。何があったんだよ。」
「何もないよ。今はそんな話いいでしょ。曲は?歌詞は?どうするのかって聞いてるの!」
完全に不機嫌丸出しの紗奈。
「あのな!なんで俺はお前に説教されねぇといけないわけ?」
「そんなの、周りに迷惑かけてるってわかってない雅が悪いからよ!」
「わかってねぇことねぇよ!人間、何か忘れることだってあるだろ!?」


