紗奈どころか、俺の周りが全部、静かになったんだ。
風だけがそっと俺たちの間を抜けていった。
「・・・なんか、ごめん。」
この空気を作ってしまった俺は、そっと二人に謝った。
「あぁ、まぁ、仕方ねぇよ。な、紗奈・・・って・・・。」
紗奈の方を見ると、目に涙をためて、一生懸命泣くのを我慢していた。
そんな紗奈を直登がそっと抱き寄せる。
「紗奈・・・」
「・・・っまさ、頑張った、んだよねっ?」
「・・・俺は俺なりに答えを出したんだ。」
「っ、後悔、しない?」
「・・・・・・」
「・・・ま、さぁ・・・っ」
紗奈の頬を涙がどんどん流れていく。
俺は、返事ができなかった。
『後悔』という言葉が、俺の心の中を行き来する。
俺は、この先未那に会えなくなって、後悔しないのか。
この気持ちは、整理ができるのか。
わかってる、わかってるんだよ。
そんなこと、できっこないことぐらい。
でも、未那が笑ってくれるなら、未那が幸せなら・・・それでいいんじゃないか。
俺は男なんだから。
我慢なんて、いくらでもしてやる。
未那が我慢しなくてもいいように。


