「んあ?」
なんでだ?
昨日の朝ちゃんと合わせてきたはずなのに。
何でゆるんでんの?
そんなことを思いながら俺は弦を調節する。
ものの数秒で求めていた音が鳴りはじめる。
「よっ、雅。」
「おう、直登。四日ぶりだな。」
「土日も入れてそうなるか。」
直登は一年で、俺と同じバンド仲間。
こいつはドラム担当。
直登のドラムはマジでかっこいい。
まぁ、先輩には劣るってのは当たり前だけどな。
「紗奈は?」
「あいつ今日様子がおかしいんだよ。授業全パスだぜ?」
「マジで?珍しいんじゃね?」
「多分、初じゃね?」
その時「誰が、初じゃね?よ。」と言いながら俺と直登の間に入ってきた奴。
「「紗奈!?」」
そこには今まさに噂をしていた紗奈が立っていた。
「紗奈、お前どこにいたんだよ。」
「紗奈、四日ぶりー。」
「土日も入れたらそうなるのかな。久しぶり、直登。」


