中に入ると、そこから近い席に智の姿を見つけた。
「ごめん、待たせちゃった。」
「あぁ、いいよ。何か頼む?」
いつになく、と言ったら悪いけど、すごく優しい智に懐かしささえ覚えた。
「じゃぁ、カフェオレ。」
すると店員さんを呼んですぐに注文してくれた。
私のカフェオレが届くまで、何を話すのかと思ったら、何も。
ただ、お互い何も言わずに向き合って座ってただけ。
しばらくして店員さんが持って来てくれたカフェオレを、一口だけ飲んだ。
「あのさ。」
智が私を見ながら、ボソリと呟いた。
その声のトーンから、伝わるのは、なぜか智の悲しい気持ち。
今までそんなこと微塵も感じたことなんてなかったのに、この時は今日の智はおかしいって思ったの。
「何?何かあったの?」
智であって智でないような。
そんな智は、私にあることを告げた。
「俺、海外に行く。」
「・・・え?」
唐突に言われたその言葉は、私の心にグッサリと刺さった。
「海外で勉強してみたいと思った。俺たちの知らないことは、まだまだたくさんあると思ってな。」
「ちょ、ちょっと待っ」
「俺はこの考えを変えるつもりはない。」


