リビングに入るとそこには一輝と雪ちゃん、あと母さんもそろって楽しそうに話していた。
「お帰り、雅。」
「お邪魔してます。」
「いらっしゃい。三人で何やってんだよ。」
「兄貴に関係ない。」
「は!?」
「一輝、そんな言い方しなくても。」
雪ちゃんが先に言ってくれたからよかったものの、そうじゃなかったらもう少しで「その言い方ふざけんな!」って取り掛かってたかもな。
とりあえず、一呼吸置いて「勝手にぞうぞ」とだけ言って部屋に向かった。
雪ちゃんは若干、アタフタしているように見えたけど。
あんなにもいい子が一輝の彼女なんて・・・ぜってぇ何かの間違いだろ。
「はぁあ~っ」
ベッドに倒れこみながら大きなため息をついた。
俺の周りではなんでこんなにも、幸せオーラ満載のやつらばっかりなんだよ。
俺は全くその予兆すらないっていうのに。
むしろ、負のオーラ満載ってか。
「ははっ・・・」
こうやって実際一人で笑ってんのも、イタイ。
ブーンッ、ブーンッ―――
そんなとき、物静かな俺の部屋に響いたその音は、ケータイのバイブ音。


