分かってる。
わかってんだよ。
観客も、少しずつサワサワ言い始めていた。
そのとき未那が、右手で小さなガッツポーズをしてくれた。
それは、きっと俺に向けてのもの・・・。
そこで、俺はハッと我に返ったんだ。
『っと、すいません。緊張って怖いっすね!』
「「緊張って、かわい~!」」
二年や三年の先輩からそんな声が飛び交う中、俺は言葉を続けた。
『先輩たちに負けないくらい、一生懸命歌うんで、よろしくお願いしまぁす!』
拍手で体育館の中が揺れる。
俺は、一度後ろを振り返り、三人に「わりぃ」と口パクで謝った。
これで、準備は完璧。
『それでは、聴いてください。』
ギターを握りしめ、後ろの直登を見る。
目で合図を送り、俺たちのバンドが、俺たちの音を奏で始める―――


