少しだけ視線を下に向ければ、そこは人、人、人。
今までのライブよりも圧倒的に多い、観客がそこにはいた。
誰だよ、緊張したら人間をジャガイモだと思えなんて言ってたやつ。
あ、親父か。
なんて思いながら、深く息を吸う。
『ちわっ!これから二組目やらせてもらいます!』
「「キャーッ、加藤くんじゃない!?」」
「「ほんと、一年の加藤くんだ!」」
一応俺も名前は知られているらしい。
嬉しい、よな。
また息を吸って、震える手でマイクを握り口を開く。
『えっと、さっきの鈴木先輩たちのバンドに負けないくらい、頑張って・・・っ』
「「・・・?」」
観客のみんなが俺の言葉を待っていたと思う。
そう、キミだって・・・。
俺はその人を見つめて、フリーズしてしまった。
そこには、未那がいた。
大勢の観客のずっと後ろ。
俺は、その中から未那を見つけた。
未那は優しい笑顔で、このステージを見ていた。
その目に映っている人物が、俺だったら・・・。
「まさー・・・、おい、雅!」
その間陵が、どこかにタイムスリップしている俺に向かって話しかけていた。


