視聴覚教室にいたのは紗奈。
その紗奈の目の前にあるのは、昨日俺がここに置いて帰ったギター。
「ごめんね、ちょっと気になっただけ。」
「気になったって、何が?」
「・・・別に用はないってこと!雅のギターかっこいいから。」
「そっか。」
紗奈の顔が若干ひきつっているように見えたことは言わなかった。
けど、確実に紗奈は何か隠してる。
「なぁ、紗奈。」
「なに?」
俺は、何を聞きたいんだ。
「いや、なんでもねぇ。」
「どういうこと?」
「ごめん、気にすんな。」
不安そうな顔で、俺を見る紗奈。
「雅は、最近変わった?」
紗奈が俺に聞いてきた言葉は、俺には理解しがたいものだった。
俺が、変わったかどうか?
「紗奈こそ急にそんな質問、どうしたんだよ。」
「雅、昨日のタオル」
タオル、と聞いてあの人のことを思い出す。
やっぱり名前聞いておくべきだったかもな。


