「雅、おいっ、雅!」
後ろの方から俺を呼ぶ声が聞こえた。
その声の主は、直登だ。
「んだよ。」
「寝坊、じゃねぇだろっ」
ニカッ、と笑いながら言う直登に「さぁな」とだけ言って前を向いた。
後ろで「おい!雅!おーい!」と言い続けている直登。
そんな直登に先生が気づいて「そこ、震源地うるさいぞ」と注意した。
「震源地って、俺地球じゃねぇし!」
「黙ってろってことだよ。」
「だって、雅が~!」
「静かに!!授業に集中しなさい!」
「あぁい・・・」
「「はははっ」」
教室中が笑いの渦に巻き込まれる中、俺は直登に向かって『ベー』と、ちゃんと舌つきで最後のとどめを刺した。
小さく「くっそ・・・」と聞こえたのは、俺だけかもしれない。
昼休み、紗奈の元へ向かうと「おそよう」と言われた。
「んあ、確かにな。弁当、食おうぜ。」
「だね。直登ー、食べよ~。」
「おう・・・」
弁当を持って俺と紗奈のところに来た直登は、なんとなくションボリ状態。
「直登、どうかしたのかよ。」
「別に・・・。友達だと思ってたやつが、朝遅刻してきて原因聞こうと思ったら、おちょくられたからって、しょげてるなんて、んなこと俺はこれっぽっちも」
「思ってんだな。」
「残念ね、直登。」
「おい!残念とか言うなよ!そもそも、こうなったのは雅のせいであって」
ガミガミガミガミ言う直登をよそに、俺と紗奈は弁当を食べていた。


