抱きしめる力を少しだけ強くした。
最初は抵抗していた未那が、今では抵抗しなくなった。
未那の表情は見えないけど、少しだけ肩が震えているのが伝わってきた。
俺の気持ちは、伝わったのだろうか・・・。
「雅・・・。私、人を見る目がないみたい・・・。」
「・・・・・・」
「どうして、かなぁっ・・・っ」
いつの間にか俺の背中に回されていた未那の腕が、俺をギュッと抱きしめた。
「・・・泣きたい時に泣いて、言いたい時に言いたいことを言ったらいいんだ。」
そっと呟いて俺は未那が泣きやむのを待った。
「あっ」
数分後、未那が何かを思い出したかのように俺から少し離れた。
「雅、学校に行くバスっ」
「あぁ、そういえばそうだった。・・・遅刻決定だな。」
「ごめんっ、すぐにバス停行こうよ!私は遅刻してもいいけど、雅は」
「いいって。未那がいいなら俺だっていい。」
今は、まだ、一緒にいたい。
「・・・だめだよ。行こう?」
「嫌だ。」
「だめだって。わがまま言わないの。」
「お母さんかっての。」
「違うけど、学校行かないとみんな心配するでしょっ」
俺は、カバンを持ってベンチを立つ未那の腕を掴む。
「じゃぁ、もちっとだけ話したいことあるから、それが済んだらすぐ行く。ってことでどうだ。」
そういうと、未那は少しだけ戸惑って「はぁ・・・」と小さく息を漏らしてベンチに座った。
「未那。」
「なに。」


