『座る?』
そう言うと男の子は私の隣に座った。
よく見ると汗をかいていて、私はカバンからタオルを取り出して貸してあげた。
すぐに私が降りるバス停について、私はタオルのことなんてすっかり忘れてバスを後にした。
次の日も、男の子に会って、タオルを返してもらった。
名前は、雅くん。
やけに大人っぽい子だなと思ったのは正直な気持ち。
それからも雅くん、雅に会うことが多かった。
雅に会うのが、楽しみだった。
ファミレスで見かけられてたのは正直驚いた。
見られたくなかったから。
智と一緒に食事はしてたけど、話はほぼ一方的に智が話してることを、私が作り笑いと一緒に受け答えするだけだったから。
きっと、あの時の私は、最悪な顔だったと思うから。
そんなところを雅には、見られたくなかった、っていうのが本心。
だから、しばらく雅に会いたくなくなって、私はあの時間のバスに乗ることを避けた。
でも、また私の中でモヤモヤした気持ちが大きくなっていった。
そしていつからか、また『雅に会いたい』と思うようになって、思い切って雅が乗ってくるはずのバスに乗った。
やっぱりそこに雅は来てくれた。
嬉しいのに、何を話したらいいのかわからなくて、会話はほとんどなくバスを降りることになった。
学校についても、雅のことが気になって仕方なかった。
このとき、私は智のことより雅のことを考えていることが多い自分に気がついた。
これじゃ、私が浮気してるみたい・・・。
そう思うと、また自分を許せない衝動に駆られた。
だから、またリスカをしたの・・・。


