智の浮気現場を目撃しても何も言わない。
そうさせてる私が悪い。
女の子とキスしてた。
そうさせた私が悪い。
女の子と手を繫いで楽しそうにしてた。
私が、全部悪い。
私が『今日楽しかったみたいだね?』って言うと『あぁ、すげぇ楽しかった』って言う智。
私と一緒より他の子といる方が楽しいんだ。
私はただの、飾りにすぎない。
手首から流れる血を見ながら、ただひたすら思うこと。
『私が、何もかも悪いんだから』
学校では普通に過ごせた。
普通に授業を受けて、普通にみんなと話して。
ただ変わったのは、長袖の服を着たり手首が見えないようにするようになったこと。
それから、心の底から笑わなくなったこと。
学校に行くことは辛くなかった。
むしろ、学校にいる方がもっと気が楽になって良かった。
家に一人でいるよりずっと。
そんな毎日を過ごしていた私に、転機が起きたのはあの日。
そう、あなたに会った日。
あの日、必死で走ってバスに乗り込んできた男の子。
つい声をかけてしまった。


