「はっ!?」
俺は袖で顔をこすった。
それは一粒の涙が残した跡だった。
「まったく、男の子が泣かないの。」
「な、泣いてねぇよ!」
「はいはい。」
なんで母さん気づいたんだよ。
俺は洗面所に行って再度確認した。
その後、部屋に上がって夕飯ができるまでギターを触っていた。
練習をする気にはなれず、ただ弦をはじくだけ。
未那のことを考えながら。
「いくら考えたところで何にも変わんねぇよな〜。」
こんなことも言いながら、ただひたすら弦をはじいていた。
次の日、相変わらずあの早い時間のバスに乗るために、家を早めに出た。
「んあ、そう言えば宿題済んでねぇな。」
昨日夕飯食って、そのまま寝たからな。
起きてたら未那のことしか考えられなくて、辛いから。
結局朝起きたら、また俺の中の未那が浮かんでくるんだけどな。
バス停の椅子に座って、カバンから宿題をとりだす。
バスが来るまでできるところはやっておこう。
バスが来るまでの数分間、俺は分からないなりに頑張った。
プシューッ。
バスに乗り込み、あの席へ。
でも、俺は、その席につく前に気づいてしまったんだ。
キミの存在に―――。


