今一度、自分の気持ちがどれくらい大きなものだったのか実感した。
「・・・会いたい。」
その言葉と共に、俺の目から一粒の涙が頬を濡らしていった。
合わせられる顔なんかないのに、それでもやっぱり会いたいと思ってしまう。
今、未那は何をしているんだろうか。
まだいつものあの時間のバスに乗っているんだろうか。
もしかして、俺と同じで違う時間のバスに乗っているのだろうか。
未那だって俺に会いたくないはずだ。
『雅には言いたくない』って言ったんだ。
それは、俺には未那のことについて触れてほしくないってことだろ。
だったらきっと、未那も俺のことを避けるだろう。
きっと、そうだ。
未那は彼氏である智さんのことが好きなんだから。
好きな人以外に、なんで自分の私情を話さないといけないんだ、って話だもんな。
俺だって、きっとそうだ。
俺のことを他人に知られる意味はないんだから。
「ただいまー。」
母さんが帰ってきた。
俺は、今まで何もなかったかのように振る舞った。
「てか、母さんどこに行ってたんだよ。」
「大学時代の友達と会ってたのよ。」
「・・・あそ。」
ばっちり化粧もおしゃれも完ぺきな訳だ。
「雅?」
「ん?なに?」
「もうちょっと上手に拭きなさいよ。ここ」
そう言って母さんは自分の頬を指差しながら優しく笑った。


