それでも、バンドの練習はちゃんと果たせた。
これはすごく不思議だと自分でも思う。
なぜか、この曲を歌っているとき、弾いているときはすごく気持ちが楽なんだ。
四人で文化祭のライブを盛り上げたい、その一心も強かったのかもしれない。
そして、時間はあっという間に経って、あの一件から三日が経った。
つまり、文化祭に出ることができるバンドを決める日が来たんだ。
「選考方法は簡単。俺とこいつの前で一組ずつ弾く。十個もバンドがあるんだからテンポよくな。」
「こいつって、俺は鈴木ですけど?」
「お前はそこに首突っ込んでないで、これ書けよ。」
「っち。部長だからって」
「いいから書け」
「はいっ」
どうやらその紙に、いくつかの項目があって、それをクリアしたら合格ってことらしいな。
「俺ら何番目?」
「四だって。微妙だね。」
「この順番が大事なんじゃねぇんだから。まぁ、順番が来るまでに緊張ほぐしとこうぜ。」
「・・・雅?」
「んあ?」
「緊張?」
「そりゃな。」
さっきから俺の心臓が、壊れそうなくらいバクバクしていた。
それは、不安、恐怖、罪悪感のせい。
やっとここまで来たわけだけど、最初の方に足を引っ張ってたのは俺だから。
これでもし落ちたら、俺の責任だ。
「よし、んじゃ一組目。」
いよいよ運命の時間が始まった。
どのバンドのメンバーも必死に弾いていて、それでもって良い曲ばっかだった。