右にいるのはユタカだった。そして、どうやらもう一方はサマーと呼ばれていた。二人組だった。ユタカは低いキーでサマーは高いキーだった。
「やるなぁ」
思わずハルカは言ってしまった。
「ね。」
カナもそう思ったらしく、一言だけ返した。「話し掛けないで」と、言っているように。
曲は全部で5曲だった。パーティーチューンばかりだった。オーディエンスは大変な興奮に包まれていて、ライブが終わってからも騒ぎ続けていた。そこへヒガシがハルカに
「どう?ユタカとやってみない?」
と、勧めた。
「やんなよ!ゼッタイにイイよ!!」
カナが叫びに似たトーンで言った。
「うん。彼がイイって言ったら…」
ハルカは穏やかに言ったが、心の中ではその音楽を愛して止まない気持ちが抑えられなくなっていた。今にも爆発しそうな勢いだった。

そこからは早かった。ハルカが一枚だけ録音していたCDをヒガシに渡すと、ユタカもようやくヤル気になり、ヒガシが暖め続けたBPMが遅めの曲に詩を乗せた。それが終わるとハルカがその才能をフルに発揮して、メロディを乗せた。そして、完成した。