「じゃあ、また来週、学校で。」
「あ、いや、その…」
「ナニ？」
「いや、じゃあまた。」
「うん。じゃあね。」
カナは忘れたのだろうか？「ヨロシケレバドーゾ」という言葉を。ユタカにはカナの明るい声がツラかった。出来ることなら、もっと罵ってほしかった。非難されたかった。しかし、カナから出た言葉は「ゴメン」と「アリガトウ」だった。ユタカはまた眠ることにした。空腹ではあったが、せめてこの身に試練を課すことで、懺悔した。誰も気が付かなかったが。

週が明け、ユタカは大学に行った。カナもハルカも。ユタカは週末の事件を、重すぎるくらい引きずっていた。逆に、二人はそうでもないように見えた。ハルカなど鼻歌を歌っているように見える。聞けば、カナもハルカもその後、クラブで遊び、猪野センパイの家にも行って、遊んだらしい。昨日のデンワもセンパイの家からのモノだったらしい。そして、センパイから今の音楽がなんたるかを学び、正しい夜遊び（？）の仕方を教わり、本人達は一人前の遊び人になったつもりでいたらしい。
その後、大学ですれ違う事はあったが、声を掛け合う事はなく、ゆえに平和だった。