が、首は横に振ってしまう。
「クソっ」
そして、ヒガシは大通りではなく路地に入っていった。「ソッチじゃない！」心の中だけで叫んだ。

そして、彼らは捕まった。もちろんヒガシではなくイノの仲間の手によって。イノ達の制裁が続くなか、ヒガシのユタカに対する制裁も行われていた。イノ達と違い、暴力はなかったが、かなり効いた。しかし、ヒガシの言葉は正論ばかりだった。「確かにその通り」と冷静になったユタカは思う事ばかりだった。

次の日、ユタカは飽きるほど寝た。週末であったことも手伝い、昨日を忘れるほど寝た。午前中にデンワが掛かってきたが、無視した。また掛かってきた。また無視した。昼を過ぎて、二度目のデンワに出た。山本加奈子だった。
「昨日は…ナンかゴメン。あんなトコロだと思わなかったの。」
「あ。あぁ。」
謝られたくなかった。なぜなら、自分こそが謝らねばならなかったから。
「あの後、ハルカも無事だったから」
「うん。ソレは知ってる。」
「あっ！いたんだ。最後まで。」
「まぁ、一応。」
いるにはいたが、怒られていた。
「そっか、じゃあ『ゴメン』じゃなくて『アリガトウ』だね。」
「いや、ボクは…」