カナはチェスカと別れ一人になったが、まだイスから立ち上がれずにいた。
あの頃に使っていたテーブル。そのコトを思い出そうとするが…ダメだ。その部分がキレイに消しゴムをかけたように「ナイ」。ナイのだ。違う色、違う形、なんでもいいのだが…ナイ。テーブルというので足があって、皿が置けるようになってて…ナイ。そんなモノはなかった。…いや、あった。テーブルはあった。ハルカと雑貨屋で選んで買った。が、ナイ。
カナは混乱した。
不自然なくらいそのテーブルの記憶がナイ。誰かがソコだけ消したような、ソコにあった事実を削除したような、そんな感覚だった。