ハルカはその後、東京に出る事となるが、その際に今野瀬家と交わした約束はこんなものだった。
「金を援助するのはこれが最後。顔を合わせるのもこれが最後。」
これが最後。絶縁。ハルカにとって、この上ない約束。望んだ絶縁だった。
およそ、勉強には向かない環境ではあったが、東京の大学を目指し、努めた。そして、桜女子学館において、始めての東京の大学の合格者となった。

ハルカは家路の途中で脳内の引き出しを整理した。もっともっと奥にその記憶をしまった。もう二度と触れないトコロへと。