「さくじょ」と呼ばれていた桜女子学館という学校はそのアダ名どうり「削除」されるべき女子高生が通う高校だった。九九もまともに言えない子。自分の名前すら漢字で書けない子。カミソリが武器の子。様々だったが、ハルカにとってあの家よりマシだった。天国とはいかないものの、ソコにはあの父親はいないし、兄達もいないので、希望はある。顔には出さなかったが、とても嬉しかった。
実際、寮に入ると、自由すぎる校風がハルカのようないたいけな女の子には風当たりが強かった。「でけん子」の烙印も名家の中だけの事。一歩外へ出ると、平均点を上回る。
高校生活はイジメとの戦いとなるハズだったが、予想に反してそんな事もなかった。実際イジメられていたかもしれないが、今までのシンデレラのような毎日がハルカを麻痺させていたのかもしれない。高校におけるソレはハルカにとってイジメとは言えなかった。ハルカは昨今の学校のイジメに耐えかねて、自殺を選ぶという子供が信じられない。理解できない。
強力な忍耐力。ハルカを語るなら、その頃に養われたソレとなる。