あぁ・・違う!その質問は違う!混乱が思考回路を狂わせる。
「んー・・23くらいにしよっかな。」
そんな質問は・・ウンそのくらいに見える。
「僕の事はどのくらい知っているの?」
「この部屋での結婚してからの事はだいたい知ってるわ。後は?」
「えっ!えーと・・ご家族は?」
「いないわ。次!」
「えーと・・・ご職業は?」
「食事をスムーズにさせたり・・って、違うわ。ぜんぜん。アナタが聞きたいのはワタシの目的とか、ワタシの正体とかでしょう!」
そうだ!
「じゃあ、それで」
「ハシが止まってる。」
「あっ!ハイ。・・・あぼ・・どえで」
口に入れすぎて自分でも聞き取れない。
「ハイハイ。答えるワ。ワタシの目的も、ワタシの正体も、ワタシ知らないの。アナタを見ててどうにかしてあげたいって思ったのは事実。こーゆーのアナタ初めて?」
まだ、うまく話せそうにないのでうなづいた。
「そう・・・。ワタシはテーブル・・よね?」
さっきまでと違う。聞かれても困る。
「他のヒトには君は見えないの?」
「見えてるワ。昨日の夕方に隣のおばさんが回覧板持ってきたもの」
「あぁ、そう。」
待てよ・・それはマズイのではないか!いつもと違う女性がいたら・・ヤツラはこの手の話には目がない。
「アレ、マズかったかな?ま、いいわね。」
いや、ダメだ。もしハルカが帰ってきて、自分より先にヤツラと遭遇したら・・恐ろしい。
「やっぱマズイよね。じゃ書き換える。食べてて」
と言うと彼女は立ち上がり、玄関に向かった。
「だから!」
彼女は僕の言葉も聞かず外に出た。
「待てって!」
続いて外に出たが、もう彼女は隣のベルを押してしまっていた。
「バカバカ!ナニやってんだ!」
もう出るに出れなくなった僕は、その次の瞬間、奇跡を見た。
「はぁい!」
と隣のおばさんが、隣の不倫の相手と確認してから元気よく出てきた。
「ナニ?どうしたの?」
と彼女と目を合わせた瞬間、ガクガクと体を震わせた。そして
「誰?アナタ?」