「僕はこの辺で…」
確かにもう僕は必要とされていなかった。どうやら猪野先輩が迎えにきてくれるような感じだし、僕はクラブの入り口にいたような人種とはどんなに時間をかけても相容れないと思ったから。
「アラ、そう。」
とカナが言う前に
「ふっっっざけんなよ！テメー！」
店の中の全体に響き渡った。それはハルカから発せられた。恐い。人生の中でこんなに真直ぐな敵意を感じたのは初めてだった。
「さぁ、行くよ！」
カナの制止を物ともせず、その三人組の唯一の男の腕を掴んだ。その恐怖はクラブの入り口にいた男のソレを遥かに越えていた。
仕方なくクラブハウスへと、頼りない三人組で向かう事になったが、店を出て二、三分だっただろうか、事件は起こった。駅前は遅くなったからか、雰囲気が変わっていた。いや、行き交う人が変わったのだ。今、思うとそんな事はないのだが、その駅前はドコか知らない外国のように感じた。そして、猪野先輩を探していると二人の男が頼りない三人組に近づいて来た。
「ねぇ、ナニしてんの？クラブ帰り？」
あぁ、なんてことだ。絡まれた。
「男１に女２なんて、見逃せないなぁ。一人ちょうだいよ。」