そのクラブハウスは地下にあった。そして、その階段からはベースの音が漏れて聞こえてきた。階段に特殊な人間がいた。見るからに悪。邪悪な人間だ。（外見が）それが着ていたパーカーのドクロがカナを睨む。すると、カナはソコを通り過ぎた。
「一杯、飲んでいきましょう」
よくよく考えると、まだ全員未成年だった。が、カナもボクも居酒屋には何度か来た事があった。カナはつきあってた二つ上の彼氏と、ボクはバイトの先輩と。しかし、ハルカは初めてだった。
疑われながらも、全国チェーンの居酒屋の入り口を抜けた三人組は、程なくして酔っ払った。中でもハルカの酔っ払い方は異常だった。最初のイメージはおとなしく、優しい女の子だったのに、180度変わった。
「ユタカっちはドコの人？やっぱ東京？」
「あ、あぁ。生まれは千葉だけど…」
「ねぇ、カナっちは？」
「東京よ。ちょうどこの辺なの。」
「へぇ。」
なんて、一気にフランクな関係に発展した。
そして、その居酒屋で二時間を潰すと、カナのケータイが鳴った。
「あっ！猪野センパイ！……あっハイ…ハイ、わかりました。」
電話を切ると、
「そろそろ、行くよ！」
と言って、席を立った。