「また、来てね」 玄関先で、靴を履き終えた私の背中にまた君は微笑んだ。 首をひねってそっと覗いてみたけれど、やっぱり君はまだ申し訳なさそうな顔をしていた。 「勉強は? 頑張ってる?」 それはきっと、部屋で話せなかったこと。 前髪を数回梳いてから、静かに「うん」と返事をする。 返された言葉もまた「そっか」と簡潔なものだったけれど、君の言葉は温かかった。