「やーちゃん、行こう」 君の声が、する。 突き刺さる風に乗せて、君の声。 ――目をつむった。 「やーちゃん」 君の声が、する。 私の名前を呼びながら、そうやってまた私の手を強く握り返して引っ張る。 「どうしたの? やーちゃん」 君の声が、する。 君の声だ。 「ごめん」