銀の魔法



彼はそう言うと同時に立ちあがり、テーブルを回って、ソファに座っている私の隣に来るかと思いきや、私の足元でしゃがみこむ。


「え、あんちゃ」


「やーちゃん」


彼はまた、一つ手にとった。

その長い指がお菓子を持つ。

それだけで、泣きそうになる。


嫌だ・・・・・・。


こんなのは、違う。

嬉しい。嬉しいけど。

嬉しいけどでも、

そうじゃない。

そうじゃな、くない?


私に近付く、近付いてくる。

それと同時に、

あんちゃんの視線が、

私の唇だけに

注がれているような気がして。