「久しぶりだね、樹奈ちゃん。覚えてる、かな? ははっ、忘れちゃったよね」
自嘲気味なあんちゃんの言葉に、
ソファに座らされた樹奈は
背筋をしゃんと伸ばして
「いえ、覚えています! 夏木杏悟さんですよね、覚えています! 昔たくさん遊んでもらったのを覚えています!」
なんて、声を張り上げていた。
そんな樹奈に、
あんちゃんはへらへらと笑う。
「そっかそっか、嬉しいなぁ」
ソファ、ということで
今いる場所はあんちゃんの部屋じゃなく
リビングである。
対するあんちゃんは
座布団に座るものだから
なんだかすごく居たたまれない。
「今日はどうしたの? 二人とも」
テーブルの上にお菓子を並べながら、挨拶でもするような軽さであんちゃんが言う。
「お姉ちゃんが夏木さんに用事があるというので。私はただの付き添いです」
「ん、そうなの?」
あんちゃんが顔を上げる。
下から覗き込まれるように、見つめられて。
本当に、死んでしまうのでは、と。
思うくらいに。


