銀の魔法



途端に高鳴りだす鼓動。

口から飛び出してしまいそうになるその心音は、むしろ痛いくらいで。


樹奈がインターホンに向かって一言二言喋ってるのが見える。

ああ、終わった。

そう思った。

しばらくしてドアが開いて、

樹奈の後姿で大分隠れてしまっているけれど、少しだけ見えるその形から、対者はあんちゃんだとわかる。

そして樹奈がこっちを振り向いて

私に手招きをして。

樹奈の陰からひょこっと飛び出してきたあんちゃんに、ニコリと微笑まれてしまった。


「やーちゃん、おいで」


まるで愛犬でも呼ぶみたいな。

そんな声だなと思う。



あまりに残酷なものだと、

そう思う。