泣いたり笑ったり忙しいな、と言いながら彼は目尻にたまった私の涙を拭うと、帰ろう、と左手を差しのべた。
そっと自分の手を重ねると手を強く引かれて、広めだった二人の距離が一気に縮まる。
それが無性にうれしくて、私は握られた手にぎゅっと力をこめた。
彼からも同じ反応が返ってきて、どちらかともなく顔を見合わせて笑う。
またシャッターを切るような音がしたけど、そんなこと気にならなかった。
桜舞う下で、彼は私に微笑み掛ける。
「好きだよ」
これからも、ずっと。
END.
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