「今のはいくらで売れるかなー」
と、ちょっと思案していると、聞き捨てならない言葉が聞こえた。
「さーて、サボリはこれくらいにして。新入生の写真を撮りに……」
ガシッ、と。
素知らぬ顔をして戻ろうとする美香の肩を掴む。
結構力を込めたつもりだったけど、それはあっさり外されてしまった。
「あー、えーっと
……由乃サン?」
それでも何かオーラ的なものを感じとったのか、銃をつきつけられた人の様に両手を上げて私から一歩後ずさった。
「…………美香」
私のお小言が始まると思ったのか、美香が両手で耳をふさぐ。
そんなことは気にせずに、私が口を開きかけたとき。
「はいはい、そこまで」
今日一番聞きたかった、ずっと待っていた声が、聞こえた。


