桜舞う四月の初め。



私は今日、高校二年生に進学した。



「じゃ、撮りますよー」



聞きなれた声が聞こえて振り返ると、親友が新入生の親子と思われる二人にカメラを向けていた。



「入学式」と書道の先生の堂々とした字で大きくかかれた看板の前で緊張した笑みをみせる女の子の初々しい様子に自然と笑みがこぼれる。



「はいっ、撮れました!


印刷できたら教室までもっていきますね」



写真部をよろしく、と宣伝も忘れない親友に、ちゃっかりしてるなぁ、と今度は苦笑い。



ふと、サアッと風が吹いてちらちらと散っていた桜を巻き上げる。



慌てて髪をおさえて反射的に下を向き、髪は抑えたまま上を見上げた。



「わぁ……」



思わず感嘆の声が漏れる。



それくらい、その光景は綺麗で幻想的で、私はしばらくそれに見入っていた。