“とても、綺麗ですね”
香月さんのコメントに、また、口元が緩む。
携帯の画面の右上にある時間を見ると、ちょうど9時だった。
「おーい!心優ぅ。ケーキ食うぞ!」
玄関から恭介が私を呼ぶ声がした。
「今行くー」
私はポケットに携帯を突っ込み、おばあちゃん家に戻った。
おばあちゃんにケーキを差し出されたけど、食べなかった。
みんながケーキを食べ終えたあと、親戚の人たちに話しかけられたけど、全部聞き流した。
私の頭は香月さんのことでいっぱいだった。
何歳なのかな。
どこに住んでるのかな。
彼女とかいるのかな。
そんなことばかり考えていた。
少し、会ってみたいな。
香月さんと。

