少しの間、ナツメはわたしを見つめていたけれど、やがて「おやすみ」と言ってわたしに背を向けた。

その背中を切ない想いで見つめる。

こっちを向いて欲しい。

もう、わがまま言わないから、せめてこっちを向いて眠って欲しい。

わたしとナツメの間には猫が一匹はいれるだけの空間がある。

両の手首は手錠で繋がれて、手錠から伸びた鎖がベッドに繋がれている。

両の足も鎖でベッドに繋がれ囚人のように鉛の球が繋がれ、わたしは自分でこの空間を埋めることができない。