ナツメ

ベッドのスプリングが軋んで、ナツメの体重の分だけ、わたしの隣が沈んだ。

ナツメの体温。
呼吸。
匂い。
全神経を集中させて感じとった。

もっと近くに寄りたいのに、拘束道具がそれを許さない。

触れられないなら、せめて顔を見たい。

ナツメの顔が見たい。

「あの、アイマスク外してください」
「なんで」

「…顔。見たいから」
「いつも見てるだろ」

「今、見たいんです」