ナツメ

わたしは、お願いすることを覚えた。

ナツメ、あなたが教えてくれたんだよ。

戸惑いが空気で伝わる。

ナツメは、今もわたしに触れない。
性的な意味では決して触れてこない。

キスだって一度きりだ。

もう時間がないことを知っている。
残された時間が少ないことくらいわかっている。

だから、せめて触れたい。

「…一人じゃ眠れないの?」

眠れる。眠れるけど。

「……いいよ。でも、今夜だけだよ?」