ナツメ

だから、わたしは喜んで両手を差し出す。
両足を差し出す。

身体も心も全て。

両の手首は皮膚が擦れて破れて赤い血がいつも滲んでいる。
足も同じだ。

痛くないと言えば嘘になるけど、その傷こそが愛の証。

一生わたしに残ればいい。

「じゃあ、おやすみ」

ベッドの上。
動けないわたしに向かってナツメが言う。

嫌だ。離れたくない。

アイマスクの向こう側。
ナツメがわたしを見つめているのを感じる。

「…いっしょに」
「え?」

「一緒に寝てください」