ナツメ

ナツメが、まともでないことくらいわかっているし、今のわたしもまた、まともじゃない。

牢獄のような、この部屋を抜けたら、普通の人間に戻るだろう。
戻らざるをえない。

そうなった時にも、わたしはナツメを愛していると思うのだろうか。

わからない。

「もう寝ようか」

ナツメが本を閉じた。

トイレを促されて、尿意を感じた。

笑える。
わたし、ナツメが言わなきゃトイレすら忘れてしまいそうだ。