ナツメ

「変な子」

ナツメの笑顔。

はじめて本当の笑顔を見た気がして、また嬉しくなってバカみたいにわたしは笑い続けた。

毎日泣いていたのが嘘みたいに。

手錠を外され、足の縄を解かれた。

ずっと後ろにまわされていた腕。
肩の筋肉がひきつってギシリとわたしに痛みを与える。

足首も縄で擦れてヒリヒリ痛む。
立ち上がると歩き始めの赤ちゃんみたいに、膝がよろよろした。

でも、なんとも思わない。

ナツメが帰ってきてくれた喜びに比べると、腕や足の痛みなんてなんでもない。