ナツメ

ナツメが近付いてくる。

アイマスクを外された。

長時間暗闇におかれていた目は、部屋の明るさにすぐに慣れない。

眩しくて顔をしかめて、数回の瞬きのあと、やっとナツメの姿を確認することができた。

数時間ぶりに見るナツメの顔。

嬉しくて笑った。

わたしに尻尾があったなら、千切れんばかりに振っていることだろう。

ただ嬉しくて嬉しくてナツメの顔を見つめて笑った。

そんなわたしを、ナツメは驚いたように見つめ返して、それからふっと笑った。