ナツメ

視界を閉ざされてしまったので、なんにも見えない。

身体も少しも動かせられない。

ナツメがどうしてこんなことをするのか。

ただ、それだけについて考えてみた。

逃げだしたら困ると彼は言ったけれど、わたしが逃げたらナツメはなにを困るんだろうか?

わたしが警察へ行くとでも? 
バカらしい。
互いに納得した上での軟禁生活だ。

それに、わたしはナツメに逆らったことなど一度もない。

では、なにが困るんだろう? 

わたしがいないとナツメが困る。
そういうことだろうか?

ナツメは、わたしにいて欲しいのだろうか。

その考えは、わたしの心を躍らせた。