ナツメ

吐気がする。
もどしそうになって慌てて上を向いた。

いつもナツメがしてくれたみたいに自分で顎をあげる。

否応なしにトーストが喉元へと落ちてきて、苦し紛れにごくっとそれを飲み込んだ。

ナツメはなにも言わずに、フォークにトーストや目玉焼きを刺しては、わたしの口元へと持ってきた。

その度におなじことを繰り返す。

自分で食べるのとどう違うのか。

ナツメが与えてくれている。
ただそれだけの違い。