ナツメ

自分の皿を片付けたナツメが、わたしの横へとやってくる。

わたしのフォークを手に持って、それをしばらく弄んだのち、トーストを一切れフォークに刺してわたしの口元へとつきつけた。

「くち、あけて」

言われるがままに、口をあける。

中にトーストがいれられて「とじて」と言われて口を閉じる。

すっとフォークが唇から抜けていった。

「噛んで」

もぐ、と口を動かしたら耳下腺が刺激されて乾いていた口の中に唾液が広がった。