「泣くの? 泣けばなんでも済むと思ってる?」

ちくちくと言葉でいたぶられる。

「そうやってすぐに諦めるから、なんにも手にはいらないんだ」

「あの男だってそうだろう?」

「本当に愛していたのなら」

「本当に彼が欲しかったのなら」

「彼の奥さんを殺してでも」

「奪えたはずだろう?」

「それが愛なら」

「彼は君が殺人犯になったとしても」

「愛してくれたはずだよ」

「君は、」


「自分で彼を手放したんだ」

「違う?」