人にお願いしなくとも、頼らなくとも、自分でなにもかもやってきた。

そうしなければ生きてはこられなかった。

だけど、今、知る。

愛されるということは、願わなければならない。
あなたに愛されたいですと願わなければならない。

ひとつ大きく息を吸い込んだ。


「抱きしめてください」

ナツメの唇が、ゆるゆると解けて、やがて本当の笑顔に変わった。

「だーめ」

あっさり期待は裏切られる。

ほらみたことかと、もう一人の自分が喚いている。

涙がこぼれた。