「…どうしたいの?」
「え?」

「今、君はどうしたかったの?」

抱きしめて欲しかった。
そう言ったらナツメは抱きしめてくれるんだろうか。

「君は、なんにもしなくていいんだよね? そうだったろ?」
「はい」

「全部、俺がやってあげてるんだからね。それが不満?」

不満? 
とんでもない。
不満なんてことあるわけない。
ただ。

「ただ…」
「ただ?」

「抱きしめて欲しかっただけです」

カチッとドライヤーが止まった。
髪が乾いた。

しばらくの沈黙の後。