ナツメ

「じゃあ、髪乾かしてあげるから。おいで。こっち」

ぺたぺたと裸足の足音を響かせて、またナツメの後を追う。

わたし、ヒヨコみたいだ。
ヒヨコのすりこみ。

「そこに座って」

ソファに座る。
その横にナツメが座り、ドライヤーでわたしの髪を乾かしていく。

近い。
すごく近くにナツメがいる。
呼吸すらかかってしまう距離。

ほんの少し身体を傾ければ、ナツメに触れることができる。

触れたいと思った。

ナツメに触りたい。

いや、抱きしめられたい。

泣きたくなった。

もうどうなってもいいと思いつつ、身体を後ろに倒してナツメの胸にもたれる。