ナツメ

二人で一緒にいる時、ナツメは必ずわたしから少し離れたところに座る。

わたしはナツメの命令に逆らえないので、ナツメが「座れ」と言うまで座る位置も決められない。

そして決められた位置に座ると、ナツメは少し離れたところに座るのだ。

多分、手を伸ばしてもギリギリで届かない位置。

ペットだから甘えてもいいのかもしれないけど、わたしはできずにいる。

嫌われるのが怖い。

手を伸ばして振り払われる恐怖を想像すると、手はいつの間にか膝の下へと隠れていった。